映画評1445 ~ ブレスラナウの凶禍(Netflix)

今回は「ブレスラナウの凶禍(Netflix)」です。

ポーランド産のミステリーベースのクライムサスペンス。ある日、街中で死体が発見され、陰惨すぎるやり方で殺された異常殺人として捜査が開始。しかし、続々とさらなる遺体や殺人が立て続けに発生し、捜査員を混沌に突き落とす。この謎めいた事件の黒幕は誰なのか…。 

 

主演:マウゴジャータ・コズホフスカ

共演:ダリア・ビダフスカ、カタジナ・ブヤキビッチ、マリア・デイメク、アンジェイ・グラボウスキー、エバ・カスプシク、ヤツェク・ベレール、ボイチェフ・カリノフスキー、ゴール・クヤフスキー、イボナ・ビエルスカ、トマシュ・オシビエチンスキーなど

 

<ストーリー>

ポーランドのヴロツワフ。この歴史と賑わいを合わせ持つ街で、凄惨な事件が起きる。縫い付けた牛革に入れられた死体を皮切りに、殺害された死体が次々と見つかり、明らかにそれは異常な犯行だった。世間を嘲笑うような事件に挑むのは、卓越したスキルを持つ女刑事。同じように優秀な捜査能力を有するパートナーとタッグを組み、正体不明の犯人を追いかけるが…。

 

2018年製作のポーランド産サスペンス映画である。

北欧のサスペンスものと言えば、だいたいにおいて暗いイメージがあるのだけど、今作は暗いという部分はない一方、ずいぶんとグロい。

被害者の殺され方が猟奇的だし、その死体もいろんな場面においてこれでもかと言うほど映されるので、ほとんどスプラッター映画である。

しかも、死体にはいちいち「堕落者」「略奪者」といった文字が刻み込まれているのだけど、このあたりはあの「セブン(ブランド・ピット主演)」にも似ている。

タイトルの「ブレスラナウ凶禍」というのは、18世紀の「疫病週間」に行われた処刑方法らしいのだけど、犯人はそれになぞらえて殺人を行ったもの、という設定になっている。

 

それはいいのだけど、全体的にとにかく描写が雑だった。

犯行動機はともかく、その犯行を「いったいどうやったの?」というものの連続だったのである。

まず1件目の被害者を牛皮に詰めたヤツ。

わざわざ牧場から牛を盗んで、その皮を剥ぎ、そこに被害者を生きたまま詰めて街中に放置する。

相当な手間だと思うし、最後まで誰にも見られないできるとはとても思えない。

2件目はもっと大掛かりだ。

被害者を2頭の馬にくくり付け、セットした爆弾で馬がピックリした左右に同時に飛び出す仕掛けを作って、被害者の手足をバラバラにする方法だ。

まあ、まったくできないことはないのだろうけど、ここの描写で、被害者の体を引きずりながら疾走している馬に対して、誰もそれに気が付かないのも不自然。

と言うか、実際に走っている場面では、何も引きずっていなかったように見えたぞ。

完全な後付けとしか思えなかったのである。

3番目はさらに不自然。

劇場でオペラの最中に被害者を焼き殺すのだけど、被害者だけを燃やす仕掛けはともかく、舞台であの程度の火災が発生したからと言って、観客があそこまでパニックになるとはとても思えないわけだ。

劇の仕掛けとして火を使うことだってあるだろうに、ここは描写全体が不自然だった。

4番目は、警察署内部だの犯行という大胆なものだけど、これなんかも中にいる警察官が無能すぎて、な~んにも警戒していない限り、こんな犯行なんかできるはずがないだろうと思った。

次の自分の元上司を殺した場面は、わざわざ自分でその元上司を入れたドラム缶を転がして転がして・・・というものだけど、あそこまで正体をさらしていたら、目撃者だって相当数いたはずだし、そういう意味でも犯行が場当たり的だ。

そして、最後は犯人が自分自身の首を悪名高い首相に送り付けるという犯行。

実は、これには捜査に当たっていた主人公が協力するというトリック(?)があるとしても、首相が金色のヘルメットを受け取ってかぶろうとした時、何か違和感があるとしてヘルメットの面の部分を開けたところ、犯人の首が入っていたというものだけど、あんなもの持った時点で重量の違和感に気が付くだろう。

少なくとも4~5kgは重いはず。

 

こんな感じで、すべての犯行について「いったいどうやったの?」という疑問が解けなかった。

しかも、これのすべてを女性一人がやっていたというのだから、映画製作にあたって、このあたりのことはまったく考えていなかったのだろうという気がする。

いくら犯人が元警察官だったとは言え、あまりにも無理があると思えるし、少し前に見た「蛇の道(柴咲コウ版)」で抱いた違和感の比ではないくらいヒドい描写だったと思う。

後で調べたところ、この作品の監督はとにかくグロい描写が好きで、この手の作品ばかり作っているのだとか。

要するに具体的なプロットなんか最初から考えていなかったのかも知れない。

だから、主人公がどうしてこの犯人に共感(?)したのか、という説明は一切ないのに、まるでドンデン返しであるかのような描写をするのも、たぶん「こうしたら面白いだろうな」という思い付きで取り入れただけで、その理由付けまでは考えなかった、というところではなかろうか。

いずれにしても、「これはおかしいだろう」と言うよりは、何とも雑な映画でした。

ということで、評価は「C」にしておきます。